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アメリカ独立リーグの投手起用例から再考する吉田輝星くんと甲子園の投球制限 Pitching in indyball & Koshien

第100回甲子園大会からしばらく経ちましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。

 

今夏の甲子園大会で849球、秋田大会から通算で1517球を投げ抜きメディアの話題をかっさらった金足農業の吉田輝星くんは、その後高校日本代表チームに選抜され、U18アジアカップの準備期間の様子が引き続き報道されています。

 

大学日本代表や立教大学、高校宮崎選抜チームなどとの壮行試合が続いていますが、ここまでの無理のない起用方法に安心しているところです。

 

 

 

さて、この吉田輝星投手と投球制限問題について書いたブログとツイートには大きな反響がありました。

 

その反響のひとつには、投球制限制度を設けると選手層の厚い強豪高校と選手層の薄い公立高校のあいだに大きな戦力差が生まれてしまうという声もありました。その結果、もう今年のような公立高校の快進撃は見られないというのです。

 

この意見に対するぼくの考えは一貫しており、これまで2番手以降として登板機会の少なかった投手の成長が促進できること、また今年甲子園を沸かせたもう1人の主役だった根尾昂投手兼内野手のような野手兼任の投手の台頭が期待できることなどを主張しています。

 

これに対しては特に海外野球経験者などから同様の意見が上がっており、選手というのは必要とされるときに台頭するものであるから、そのルールが必要とすれば新しく面白いピッチャーが台頭してくるのではないかという声もあります。全くその通りだと思います。

 

 

 

前置きが長くなりました。そこで今回のブログでは、ぼくが2018年夏のシーズンに実際に経験した、アメリカ独立リーグのエンパイアリーグでの投手起用例を紹介しようと思います。

 

環境や条件などもちろん違う部分はありますが、海外での例を知ることでこの件について考えるひとつのきっかけになればいいなと思います。

 

 

 

まずエンパイアリーグについて簡単に説明します。エンパイアリーグは、アメリカ東海岸のニューヨーク州、ニューハンプシャー州、メイン州、またプエルト・リコなどを本拠地とするMLB組織から独立したプロ野球リーグです。

 

エンパイアリーグを名乗るようになって3年目となった今年は所属チームが4チームから6チームに増え、それに伴いロースター枠は22人から20人に減少、よりシビアな選手起用が求められるようになりました。

 

シーズンは約2ヶ月半。その期間にダブルヘッダーを含めて週5,6試合×9週間の約50試合のレギュラーシーズン、そしてプレーオフをプレーしました。だいたい週1日のオフが月曜日に設定されていました。

 

球数制限、投球制限など出場に関する全ての制限はなく、その点に関しては現在の甲子園と同様です。

 

 

 

20人のロースター枠の構成は以下の通りでした。

 

 

 

・投手 11人

投手 9

投手/捕手/三塁手 1

投手/二塁手/遊撃手 1

 

・捕手 2人

捕手 1

 

・内野手 7人

一塁手/DH 1

一塁手/外野手/DH 1

一塁手/三塁手 1

二塁手/遊撃手/三塁手 1

二塁手/三塁手/外野手 1

 

・外野手 5人

外野手 2

外野手/DH 1

 

・ロースター/全人数 20/20人

 

 

 

ちなみに、投手/捕手/三塁手と表記しているのがぼくです。

 

それに対して、甲子園での出場記録を基にした金足農業のロースターは以下の通りでした。

 

 

・投手 2人

投手/外野手 1

投手/三塁手 1

 

・捕手 1人

捕手 1

 

・内野手 5人

一塁手 1

二塁手 1

遊撃手 1

三塁手/外野手 1

 

・外野手 4人

外野手 2

 

・出場なし 9人

 

・ロースター/全部員数 18/46人

 

 

 

いくつか違いを補足するとすれば、

 

1. 甲子園は1戦必勝のトーナメント、エンパイアリーグはリーグ戦であること

 

2. 甲子園は最大5試合、エンパイアリーグは2ヶ月半で50試合があること

 

3. エンパイアリーグは21~30歳、甲子園は16歳~18歳でロースターの中でも実力差が大きくなりやすいこと

 

 

 

などのことは挙げられると思います。

 

 

 

そのなかで、エンパイアリーグの詳しい投手起用を解説していきたいと思います。

 

まず先発ローテーションが1戦目~5戦目までの5人です。週5試合のときは中6日で翌週に先発が回ってきて、週6試合のときは第1戦の先発が中4日で第6戦に先発、第2戦以降の先発が中5日で翌週の第1戦に繰り上がります。

 

中継ぎは、先発に何かあったときにロングリリーフができて、何もなければ6,7回もしくは7回を抑えられる中継ぎが1人。さらに劣勢や中継ぎ陣を休ませたいときに登板する、敗戦処理色の強い中継ぎがもう1人です。

 

そして勝っているときの8回に登板するセットアッパー、9回に登板するクローザーでリリーバーは4人です。

 

そこに大差で勝っている、または負けている試合で登板する2WAYのリリーバーがぼくとあともう1人で、全11人のラインナップでした。

 

 

 

このように、投手11人というと多く感じるかも知れませんが、決して多いことはなくまだ足りないくらいです。

 

何故なら、先発投手5人はすでにブルペンから除外されますし、もし先発が序盤で降板して中継ぎが3イニング以上投げてしまえば最低2日の休養が必要、延長になってクローザーが2イニング投げてしまえば彼にも休養が必要と、シリーズの状況の中でどんどん投げられる投手が減ってしまうからです。

 

ここに怪我などで退団する選手などが出てきてしまえば、さらに苦しいブルペン事情となるのは想像に難くないでしょう。

 

つまり、以下のような布陣です。

 

 

 

・投手 11人

先発 4

先発/中継ぎ 1

→1-5回

 

中継ぎ 2

中継ぎ/捕手/三塁手 1

中継ぎ/二塁手/遊撃手 1

→6-7回

 

セットアッパー 1

→8回

 

抑え 1

→9回

 

 

 

ですから20人となったロースター枠では、何人かの2WAYの投手を保有することは必要不可欠だったのではないかと思います。

 

そうした事情の中で、トライアウト時は2WAY登録していなかったがキャッチャーとして肩の良いところを見せていたぼくと、昨年もプレーして登板経験のあったセカンドの選手に白羽の矢が立ったのでした。

 

 

 

まとめ

 

甲子園は、決勝まで勝ち上がることを考えれば今年の日程なら15日間で5試合。平均3日に1試合と考えれば、先発は2人いれば足りるかもしれません。

 

しかしアメリカ独立リーグに比べれば大会全体の打力は劣るとは言え、計5試合を勝ち抜く上で、良いリリーフを最低2人は揃えるのは本来当たり前の準備ではないかと思います。

 

今後甲子園大会に迅速に投球制限が導入されるかどうかわかりませんが、健康で息の長い選手を育成するためと、大会を勝ち抜くための両方のために複数人の投手を育てるチームがもっと増えてくれることを願うばかりです。

 

 

 

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