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アメリカ独立リーグのエンパイアリーグが日本でトライアウトを開催します Empire League Tryout 2019 in Japan

表題の通り、今年もアメリカ独立リーグのエンパイアリーグが日本でのトライアウトを3月9日に埼玉県北本運動公園野球場で開催します。昨年ぼくはこのトライアウトに合格してこのリーグでプレーしたので、何度かブログに書いていることもありますが改めて情報をまとめておきたいと思います。

 

 

 

1. トライアウトについて

 

この日本でのトライアウト、参加費は5000円。昨年は10人ちょっとくらいの選手が受けて、5人が合格しました。内訳は投手3人、捕手1人(ぼくです)、外野手1人です。枠という考え方はなく、合格に値する選手がいれば理論上は何人でも合格にするとのことです。

 

アメリカでエンパイアリーグのトライアウトを受けようと思えば航空券20万円、トライアウト参加費が投手8万円、野手9万円(2WAYの場合も9万円)を支払わなければなりません。それらの費用は日本でのトライアウトに合格した場合にも払わなければならないものですが、シーズンをプレーできることが決まってそれを払うのと、払った上にプレーすることができずに1週間で帰って来なければならない可能性があるのとでは雲泥の差でしょう。

 

またアメリカでのトライアウトキャンプでは、キャンプ参加者200人に対して開幕ロースターを勝ち取る合格者は120人。実は、日本人選手が事前に合格するほどこの120人の合格者数は減って行きます。日本で10人が合格すればアメリカでは残り110人しか合格できないということですから、合格数に上限がない事前のトライアウトは大きなアドバンテージだと思います。

 

 

 

トライアウトのメニューは日本でもアメリカでもほぼ同じ。投手はブルペン、打者に対する実践投球。野手は60ヤード走、フリーバッティング、実践バッティング。それに加えて捕手は、ブルペン捕球、二塁送球タイム測定。内野手は、ショートの深い位置からのアームテストを含む内野ノック。外野手は、ライトからのバックサード、バックホームの送球です。

 

昨年のこのトライアウトによる日本、アメリカでの合格者の傾向をお話しします。まずポジションから話すと、最も倍率が低く受かりやすかったのが捕手、次が投手、ショート・セカンドのミドルインフィールド、サード・ファーストのコーナーインフィールド、そして最も激戦区で合格可能性が低かったのが外野手でした。外野手で昨年合格した日本人選手は元千葉ロッテマリーンズの育成選手だった菅原祥太選手だけということがそれを物語っていますが、これは全く不可能という意味ではなく、相応の選手が受験すれば十分に合格の可能性はあると思います。

 

 

 

次に、合格のために必要なもの。合否の基準となるボーダーラインについてお話しします。まずピッチャーは、球速140km以上、もしくはその潜在能力が見られること。次を強いてあげるとすればストライクが投げられることです。そして野手は、肩とパワー、これに尽きます。キャッチャーで言えばセカンド送球1.9秒程度、外野手なら外野からバックサード、バックホームで低い弾道の送球が見せられなければなりません。内野手も同様です。

 

そして、ホームランが打てるパワー。必ずしもトライアウトでホームランを見せなければならないというわけではありませんが、独立リーグで欲しがっているのはそのリーグで生き残れる選手ではなく、そこからさらに上のレベルの独立リーグやマイナーリーグにステップアップできる選手。アメリカでは長打力のない選手は評価されないということを考えると、ホームランまたはそれに準じるパワーを見せられることは必須だと思います。唯一ショート・セカンドの選手だけは、ホームランが打てなくても足が速く守備が上手いタイプとして生き残ることは可能ですが、それでもライナーで強い打球が打てなくてはならないというのは同様でしょう。

 

総じて言えば、ピッチャーの球速、野手の肩とパワー以外の能力はシーズン中の指導や後からでも上げることが可能だと考えられているということでもあります。とにかくトライアウトまでにこの2つの能力を上げて来て見せて欲しいという、明確なメッセージと捉えることができます。

 

もし日本でのトライアウトに不合格となった場合でも、アメリカでのトライアウトに再挑戦したいということであれば参加することが可能です。昨年も、惜しくも合格とはなりませんでしたが、そうやってアメリカでのトライアウトに参加した選手がいました。その場合も日本でのトライアウト時に、アメリカでの合格の可能性について相談に乗ってもらえると思います。

 

 

 

2. シーズンについて

 

さて、次にエンパイアリーグでのシーズンの様子についてお伝えします。シーズンは6月1週がアメリカでのトライアウトになっており、今年はプエルト・リコにてそれが行われるようです。日本でのトライアウトに合格している選手たちはこのこのトライアウトをパスできることが決まっています。あとはここでアピールして、ぜひいいチームの監督にドラフトしてもらえるようにしましょう。

 

昨年のチームはプエルトリコ・アイランダース(プエルト・リコ)、アグアダ・エクスプローラーズ(プエルト・リコ)、ニューヨーク・バックス(ニューヨーク州)、プラッツバーグ・レッドバーズ(ニューヨーク州)、ニューハンプシャー・ワイルド(ニューハンプシャー州)、オールド・オーチャード・ビーチ・サージ(メイン州)の6チームでした。ぼくは昨年ニューヨーク・バックスにドラフト指名されてこのチームでシーズンの大半をプレーし、終盤にアグアダ・エクスプローラーズにトレードされました。今年もチーム名は変わらないと思いますが、フランチャイズとなる都市は変更になるチームもあると思います。

 

トライアウトキャンプが終了すると、各チームがレギュラーシーズンに突入。それぞれ割り振られたカードを消化していきます。全てのチームがトラベルチーム扱いで、例えばメイン州オールド・オーチャード・ビーチで2週間プレーし、次のニューヨーク州プラッツバーグに移動してまたそこで2週間プレーというようなかたちです。このあいだの滞在先は大学の寮のような施設あるいはホテルで、選手が費用を負担する必要はありませんが、州から州へのときには8時間にも及ぶドライブは車を持っている選手の車に分乗して行うため、決して安くはないガソリン代を選手同士で割り勘して負担しなければなりません。過去にはこのガソリン代がリーグから支給されたこともあると聞いたことがありますが、今年のリーグがどうなるかは始まってみないと誰にもわかりません。

 

8月第1週にはレギュラーシーズンが終了し、上位4チームがプレーオフに進出します。プレーオフはまず1位vs4位、2位vs3位の試合が1戦必勝で行われ、そのあとに決勝が2戦先勝で行われます。昨年は日本人選手2人が所属したプエルトリコ・アイランダースが優勝を飾りました。独立リーガーにとって優勝は第1目標ではありませんが、プレーオフ最終戦まで残ることによって他の選手より1週間長くアピールできるチャンスがあります。またやはり弱いチームからより強いチームからのほうが多くの選手がコールアップの対象になるのも事実です。野球という競技をプレーする喜びのひとつでもありますから、個人の能力をアピールする傍らぜひ優勝も狙いましょう。

 

 

 

シーズン中は成績の良くない選手はどんどん解雇されていき、反対に成績の良い選手はどんどん上のリーグに昇格するチャンスが与えられます。これをコールアップと呼びます。エンパイアリーグからは、同じ独立リーグで上位に位置するアトランティックリーグやキャナムリーグにコールアップされる選手が多かったです。

 

ニューヨーク・バックスでぼくのチームメイトだったカール・ブライスというピッチャーは、エンパイアリーグとほぼ同レベルのユナイテッド・ショアという独立リーグを解雇されてエンパイアリーグにやってきて、たった2週間圧倒的なピッチングを見せて独立リーグ最高峰のアトランティックリーグのヨーク・レボリューションズにコールアップされて行きました。

 

反対に、いくら成績が良くても人間性に問題があると判断された選手は上のリーグに上がることはできませんでした。なぜなら、その選手が上のリーグで問題を起こしたりすればエンパイアリーグの評判が下がるからです。

 

アメリカの野球は全てビジネスという原理に則って運営が行われており、リーグ運営側のゴールは、優れた選手を多く輩出し、より優れたレベルのリーグにすることです。そのゴールのために、良い選手を集めて彼らを上の独立リーグやマイナーリーグに輩出し、彼らの活躍によってリーグの評価を上げたいわけです。ですから、リーグの評価を下げる可能性のある選手はリーグとしても評価の対象外にせざるを得ないのです。それはエンパイアリーグだけでなく、どの独立リーグやマイナーリーグ、メジャーリーグの球団にとっても同じだと思います。

 

 

 

3. 資金について

 

給料については、様々な事情からないものと思ってもらった方が良いです。滞在中の宿泊費はカバーされますので、必要な資金は食費と移動のガス代だけということになります。

 

ぼくは料理が得意なのでチームメイトだった井神力投手と協力して日本食を作ったりして、食費をできるだけ抑えると同時に少しでも快適に過ごせるように工夫していました。そうでない場合はスーパーで本当に簡単なものを買ってきて食べるか、マクドナルドやその他の外食で済ませることになるでしょう。と言ってもそれでいくら必要なのかという想像がつかない選手も多いと思います。ハッキリとした金額を明言する必要があるでしょう。

 

アメリカエンパイアリーグでシーズンを過ごすのに必要な金額は、15万円と言っておきます。

 

これにキャンプ参加費が9万円、往復の航空券が20万円と考えても、合計44万円あれば何も困ることなく余裕を持ってシーズンを過ごすことができます。航空券を上手に買えれば40万円で済ますことも充分に可能ですし、ちょっと節約すれば30万円台でも済むと思いますよ。

 

 

 

まとめ

 

アメリカエンパイアリーグ2019年トライアウト開催にあたって、リーグとシーズンの主な情報をまとめてみました。これらは本当におおまかな情報となっていますので、以下にリンクを貼りますシーズンのレポートを合わせて読むことでリーグをプレーする雰囲気を掴むとともに、これからトライアウト当日までの練習やトレーニングのモチベーションにしていただければと思います。

 

申し込み、問い合わせはトライアウトを主催するパラカイエベースボールの代表・松坂賢さん

 

glquality1015@gmail.com

 

までどうぞ。彼はシーズン中もリーグ運営またはコーチとして帯同しますので、英語に対する最大限の努力はもちろん要求されますが、本当に困ったときの日本語でのアシスト体制も整っています。

 

昨シーズンは英語以上に、監督がぼくをスタメンから外したのにはこういう意図があるだとか、リーグとして上位のリーグに上げたい選手はどういう選手かなどといったことを話してくれ、リーグと日本人選手の橋渡し役として心強い存在でした。

 

最後に、これらはぼくの個人的な経験や予測に基づいた情報であり、今年のトライアウトやシーズンが全くこの通りに行われることを保証するものではありません。あらかじめご了承くださいますようお願いいたします。

 

 

 

— 2月9日更新 —

 

3月9日の埼玉県北本野球場での関東トライアウトに加えて、翌3月10日大阪府グイーン大阪での関西トライアウトの開催が決定しました。

 

これで関西、四国、九州勢の参加も格段にしやすくなった2019年エンパイアリーグトライアウト。人数の少ない会場はキャンセルになってしまう可能性もあるので、事前にメールで申し込むのが一番良いと思います。ぼくも関東トライアウトに参加する予定ですので、ぜひ当日会場でお会いしましょう。

 

 

 

エンパイアリーグトライアウト2019 in 関東

 

日程: 3月9日 16:00-19:00

会場: 北本運動公園野球場 埼玉県北本市古市場1-167

 

 

 

エンパイアリーグトライアウト2019 in 関西

 

日程: 3月10日 15:00-18:00

会場: グイーン大阪 大阪府堺市北区長曽根町1904-5

 

 

 

申し込み・問い合わせ: glquality1015@gmail.com (松坂賢)

 

 

 

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