Born on a Baseball Planet
南米アルゼンチンリーグ開幕戦、ベネズエラなど世界情勢が野球界に与える影響 Liga Argentina Opening Games & Migrants

前回(アルゼンチンの野球場の規模や観客席、ファルコンズの施設と滞在先のご紹介 Baseball Stadium in Argentina)に引き続き、リーガアルゼンティーナ開幕戦の様子をお伝えしていきながら、ぼくの所属するファルコンズ・デ・コルドバ Falcons de Cordoba Club Dolphinsの開幕ロースターの様子についてもお話できたらと思います。

 

“海外でプレーすること”は、野球だけでないその国や近隣諸国の国内情勢、国際情勢を目の当たりにすることでもあります。日本にいる方にも少しでもその感覚が伝ればと思いながら、この文章を書きたいと思います。

 

 

まず、世界3大通信社のひとつであるフランスのAFP通信が以前報道した、アルゼンチン野球に関するこちらの動画を観ていただきたいと思います(スペイン語音声と英語字幕なので以下に解説を加えます)。

 

 

 

Venezuelan migrants give Argentine baseball a boost(AFP News Agency)

 

 

 

現在国家危機的な情勢にあるベネズエラからは多くの国民が周辺諸国に移民していますが、それは野球選手も同様。多くのベネズエラ出身選手が、アルゼンチンに移民してアルゼンチンリーグでプレーを続けているというニュース動画です。

 

おそらくこれも理由のひとつとなって、ぼくのプレーするファルコンズ・デ・コルドバ Falcons de Cordoba Club Dolphinsでは、今まで海外のチームで経験したことのない数の外国人選手が開幕ロースター入りしています。全19人のメンバー中、ピッチャー5人(ベネズエラ3人、ドミニカ共和国1人、日本1人)、内野手1人(ベネズエラ1人)、外野手2人(ベネズエラ1人、ドミニカ共和国1人)の計8人。以前2017年までのルールでロースターの半分までが外国人選手であることが認められていたABL(オーストラリアンベースボールリーグ)もびっくりの、実に半分近くが外国人選手です。

 

このうちのほとんどはぼくとともにファルコンズ(総合スポーツクラブドルフィンズ)のクラブハウスで生活していますが、残りの何人かはクラブハウスとは別のところで生活していたり、別に仕事を持ったりしています。彼らは外国人選手として契約して来たというよりは、移民してきた選手たちなのかもしれません。

 

 

 

以前はウィンターリーグの主要な選択肢のひとつでありぼくのコーチである養父鉄さん(ルーツベースボールアカデミーと養父鉄コーチ、独立リーグや海外を目指す選手たちの聖地 ROOTS BASEBALL ACADEMY & TETSU YOFU)もプレーしたベネズエラウィンターリーグも、現在では治安や国際関係上の理由からMLB機構から選手の派遣が禁止されています。

 

このように海外でプレーしていると、日本だけで生活していたら他人事となってしまうような国際情勢を身近な問題として捉えることができる、捉えざるを得ない状況に身を置かれます。こうした野球以外のこと、野球の周辺に広がる様々を含めた全てが”海外でプレーするということ”なのではないかと思っています。

 

 

 

さて、開幕戦はその外国人選手のひとりドミニカ共和国出身のジェフリー・サンティアゴ Jefry Santiagoと、ベネズエラ出身のマニュエル・フローレス Manuel Floresの先発で試合開始。どちらもマイナーリーグキャリア持ちのピッチャーです。

 

試合は投手戦で進みますが、中盤に我らがファルコンズが内野ゴロで1点を先制。その後も3人のピッチャー(リッキー・ラミレス Ricky Ramirez(ベネズエラ)、フェデリコ・ロブレス Federico Robles(アルゼンチン))を使った継投でプーマズ Pumas de Cordobaをノーヒットノーランに抑え開幕戦を勝利で飾りました。

 

 

翌日の日曜日も、同じくコルドバを本拠地とするコンドレス・デ・コルドバ Condores de Cordobaをホームに迎えて開幕第2戦を戦いました。

 

試合前にベンチで休んでいると、相手ベンチから笑顔で近づいてくる選手がいます。誰かの友達だろうと思って見ていると、なんとそれはぼくの友達。2018年春にベルギーでの2年目のシーズンに短期間ながらバッテリーを組んだ、ベネズエラ人のルイス・メンドーサでした。スタンドには彼の家族も揃っており、彼もまた家族と一緒にアルゼンチンへ移民して来たひとりなのかもしれません。

 

メンドーサは英語が話すことができず(そのせいでベルギーでは苦労したようです)ぼくもスペイン語が話せませんので多くのコミュニケーションを取ることはできませんでしたが、笑顔で抱擁しあって家族と一緒に写真を撮ればそれで十分。良い試合になること、お互いに良いシーズンを過ごせることを願い合ってそれぞれのベンチへ戻りました。

 

 

 

今日の試合はファルコンズがルームメイトのカルロス・パーラ Carlos Parra(ベネズエラ)、コンドレスがダニエル・ピラー Daniel Pilar(ベネズエラ)のベネズエラ人同士の先発の対決となりました。パーラは夏のシーズンには、ドイツブンデスリーガ南地区のウルム・ファルコンズ Ulm ITsure Falconsでもプレーしていたピッチャーです。またプーマズは今日が開幕戦ですので、メンドーサは2戦目の先発予定のようです。

 

前日の1-0ゲームとは打って変わって、今日は打撃戦。というよりファルコンズの打線が爆発して、7回途中14-1のコールドゲームで勝利しました。このあと恒例となっていく勝利セルフィーをベンチ前でみんなで撮って、開幕週は最高の滑り出しとなりました。

 

ぼくの出番はというと、合流してまだ1度もブルペン投球も見せていない状態で前日の1-0ゲームで投げさせてもらうのは難しいだろうなとは思ったものの、今日の大差のついた場面ではあるかなと思ったのですが、3ランホームランでコールドゲームとなってしまったのでそのまえに試合終了してしまいました。試合後に個人的に監督の前でブルペン投球を行ったので、ここからだと思います。

 

 

試合のあとは、スタンドに残ってみんなでどんちゃん騒ぎ。クラブに関わっている大人たちや、ドルフィンズのバレーボールチームに入っている中学生くらいの女の子とその両親や、このクラブを応援してくれているたくさんのひとたちが集まってとてもいい雰囲気でした。

 

ヨーロッパなどのワイン文化の強い国でも野球のあとはビールと相場が決まっていましたが、ここアルゼンチンではビールはもちろんワインも飲みます。Vino con Prettyといって赤ワインをプリティという名前のレモネードで割った飲み物がみんな大好き。アルゼンチンではひとつのカップをみんなで回し飲みするのが伝統だと言われて、ぼくもそのカップを受け取ってたくさん飲みました。

 

以前このチームでプレーしていた日本人選手の話をいろんなひとがしてくれて、彼がこのチームでどれだけ愛されていたかが伝わってきました。その彼のおかげでこうしてみんなが親しみを持ってぼくに話し掛けてくれることを考えると、日本人として海外リーグでプレーするということは、プレイヤーとしてもひとりの人間としても日本人選手全体の評価に影響を与えることだと実感します。

 

 

 

まずは素晴らしい形でスタートしたアルゼンチンリーグ開幕週。様々なバックグラウンドを持った選手が集まるアルゼンチンリーグですが(そしてそれはアルゼンチンだけに限ったことではありませんが)、グランドに立てばみんな平等。1つの野球ボールを使って競い合い、語り合うことができます。

 

次週以降もこの野球というスポーツを巡って、ここアルゼンチンで様々なことが起こります。ひとつずつお伝えしていけたらと思います。

 

 

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