Born on a Baseball Planet
#1日1海外野球 #35 フィルとコミュニケーション

フィルである。マサチューセッツ出身のアメリカ人ピッチャーで、アメリカ独立リーグのシーズン中ぼくら日本人選手と特に仲良くしてくれた選手のひとりだった。自分の車を持っていたフィルはスーパーに行くときに一緒に行くかと声を掛けてくれたり、自分が必要ないときでもぼくらのためだけに車を出してくれたりした。彼の好きなペプシコーラを1本買って帰ってありがとうと言って渡すのが定番で、そんなときは決まって、お父さんにそういうふうに育てられたからやっているだけだからそんなことしなくていいのにと言ってくれるのだった。

 

そんなふうに良い関係が築けたフィルだったが、はじめのころコミュニケーションにおいてぼくが失敗してしまったことがあった。プエルトリコのコンビニのような店舗のイートインでチームメイト6,7人くらいで缶ビールを飲んでいたオフの日、フィルがテーブルの上に置いてあるぼくが6本パックで買って残っているビールを差して”お金払うから1本もらっていい?”と言ってきたのだ。ぼくがこれを買ったのは、お得だったのもあるがみんなでシェアして飲みたかったからである。ぼくはすぐさま”No!”と言って、続けて”お金いらないから飲んでいいよ”と言おうとした。ところが、ぼくの”No!”に被さるようにすぐに別の選手が”俺のを飲んでいいよ”と言ってしまったのだ。フィルはすぐさま”気にしないでくれ”と言って、彼のビールを1本取って飲み始めた。ぼくは本来伝えたかった意図を説明するタイミングを逃したまま、話題は次に移ってしまった。結果的に彼とは素晴らしい関係性が築けたのでよかったし、きっともう彼も忘れてしまっていることと思うのだが、彼について考えるとき思い起こされる、少しだけ申し訳ない思い出である。

 

/ニューハンプシャー, アメリカ

/フジフィルム クラッセ, コダック ポートラ400

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