Born on a Baseball Planet
ヴィヴィアン・ウエストウッド ロンドン本店ワールズエンドでの小さな感動 野球界とLGBTQ World’s End, Vivienne Westwood London

先日、スイスで滞在している家でこんなことがありました。

 

その家は野球チームのチームメイトがガールフレンドと住む一軒家。ちょうど庭にプールを建てたばかりで、家族や親戚や友人など日替わりでたくさんのお客さんが訪れていました。その日はガールフレンドの両親とお兄さん、ぼくのタイ人の友人が遊びに来ていて、プールで泳いだり軽食をつまんだりして過ごしていました。その中で、話題はガールフレンドのお兄さんがゲイであるという話になりました。

 

タイ人の友人はびっくり仰天。しかし、ぼくもその事実は今初めて知ったものの、ぼくにとっては特に気にするほどのことではありませんでした。どうしてタケルはそんなふうに考えられるの?日本の社会ではみんなそういう考え方なの?と聞かれましたが、そうは思いません。それはぼくが大学以降、進んだコミュニティの中に身を置いてきたこと、中でもクリエイティブの世界にいたことが大きく関係していると思います。

 

そう考えたとき、ぼくが3年前、それもたまたまスイスでのシーズン中にロンドンへ旅行したとき、ちょっと感動したことがあったのを思い出しました。今日はそのことについて書いてみたいと思います。

 

 

ヴィヴィアン・ウエストウッドは、1971年にヴィヴィアン・イザベルがロンドンのキングスロード430番地にオープンしたブティック「レット・イット・ロック」に端を発するイギリスのファッションブランドです。夫のマルコム・マクラーレンがマネージメントするパンクバンド「セックスピストルズ」に衣装提供するなどして一大ブランドとなりましたが、このブティックは何度も店名を変えながら現在も「ワールズエンド」としてキングスロード430番地で営業を続けています。

 

ヴィヴィアン・ウエストウッドがのちのファッション界、クリエイティブ界に与えた影響は大きく、かつて服飾デザインを勉強していたぼくは、このワールズエンドをいつか訪れてみたいと長いこと憧れを持っていました。そして、それが叶う日が来たのです。

 

 

スイスとフランスに跨るバーゼル・ミュルハイム空港から、ロンドンのガトヴィック空港までおよそ1時間半くらい。初日はテートモダンで日本から遊びに来てくれた友達と待ち合わせて一緒に過ごし、Airbnbで探したお家に泊まって(観光、バックパッカーに!海外旅行のホテル・宿泊先を安く予約する2つの方法、AirbnbとBooking.comの使い方)、翌日がワールズエンドの日でした。

 

ワールズエンドのあるキングスロード430番地はロンドンの中心地から少しだけ離れたところにあります。周辺にメトロの駅もなく、サウス・ケンジントン駅 South Kensington St.を降りて20分ほどの道のりを歩いて向かいました。あたりは閑静な住宅街で、本当にこんなところにブリティッシュ・ファッションの聖地とも言うべき場所があるのかと不安になり始めた頃、少しだけ開けた通りに出ました。

 

そのストリートでは、イギリス人流のウィットなのか、あるいはリスペクトの表れか、本屋さんの名前も「ワールズエンドブックショップ」、園芸屋さんも「ワールズエンドナーサリー」。そこらじゅう「世界の終わり」だらけです。本家ワールズエンドも、すぐ角の向こうに迫って来ました。

 

 

針が逆向きに回る時計、上方に向かってせり出した屋根、水色の窓格子に、その隙間からのぞく原色のロッキンホースバレリーナ。ワールズエンドは不思議な存在感を持ってそこに佇んでいました。

 

店内の床が斜めに歪んでいることが、入り口のドアからも見て取れます。開けにくいドアを開けて店内へ入ると、そこは本当に小さなブティックでした。その小ささに、本当にここから全てが始まったんだというかつての熱を感じます。しかし現在は、その小ささに見合うかのような静かな印象でした。

 

 

 

店内をぐるっと回って、といってもウィメンズ中心のラインナップですから取り立てて購入を検討するようなアイテムもなく、せっかく来たのだからとハンカチの1枚でも買って帰ろうとレジに持っていったとき、ある質問をされました。

 

“こちらは恋人へのプレゼントですか?ボーイフレンドですか?ガールフレンドですか?”

 

それはなんということはない、買い物をしたときによくされる質問で、そしてワールズエンドの店員さんにとってもごく当たり前かのような素振りで聞かれた質問でした。

 

しかし、それはただの質問ではありません。ワールズエンドとして、男性が女性の恋人を持つことも、男性の恋人を持つことも受け入れるという、セクシュアリティに対する理解と許容に他ならないからです。その質問はワールズエンドがこの地でレット・イット・ロックとしてスタートしたときからの、イザベルがブランドに込めた姿勢を示すもののように感じました。

 

 

1度野球を離れてから多くの経験を経て野球界に帰ってきた(大学院卒ブランク5年で野球選手として独立リーグ・海外でプレーするようになったきっかけ その1)時に、子供を教える指導者などからの「オカマかよ~」などといった思慮と配慮に欠ける言葉に気が付くことがありました。もしかしたら以前であれば気にはならなかったのかも知れませんが、今では「本当に性同一性障害だったらどうするんだろう?」「それっていけないことなのかな?と悩んでしまうんじゃないか?」という考えが浮かびます。

 

そうした中で本当に特別なふうじゃなく「あなたの恋人は男性?女性?」と尋ねられる感性に触れるという体験は、とても心地よいものでした。

 

ファッションの世界というのはジェンダーの捉え方に関してきっと特に進んだ分野だと思いますが、それが遅れた野球界でも、少しずつでいいから理解が進んでいったらいいなと思います。

 

 

Equipments: iPhone

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