【アメリカ独立リーグ挑戦記】2018エンパイアリーグシーズンまとめと進行スケジュール Empire League Schedule
2018年の夏のシーズン、ぼくは長年の目標のひとつだったアメリカ独立リーグのエンパイアリーグでフルシーズンをプレーすることが出来ました。
ここまで【米独立エンパイアリーグ挑戦記】シリーズでは、トライアウトキャンプの模様を中心に、いかにして開幕ロースターを勝ち取ったかといったことをお伝えして来ました。
ここからは約2ヶ月半のシーズンの流れをまとめながら、それはどんなシーズンだったのか?何が起こって、何を感じたのか?ということを綴っていきたいと思います。
まず、2018年エンパイアリーグでの個人成績は以下の通りでした。
所属チーム: ニューヨーク・バックス New York Bucks、アグアダ・エクスプローラーズ Aguada Explorers、プエルトリコ・アイランダース Puerto Rico Islanders (1試合のみ)
ポジション: キャッチャー、ピッチャー、サード
出場試合数: 19試合(全44試合中)
47打数15安打、打率.319、長打率.319、出塁率.553、OPS.872、打点7
登録時に投手としては登録していなかったので投手としての公式記録が残っていないのが残念ですが、8試合に登板して防御率8.00くらいの成績でした。
次にシーズンの概要です。
6月2週目から始まったレギュラーシーズンは、基本的に1週間単位のスケジュールで進行しました。火曜日から日曜日まで、1日1試合の週6試合を同じチームと連戦。最終戦の終わった日曜日からオフの月曜日を移動日として次の都市に移動し、またそこで6連戦を戦うといったサイクルです。
これを基本としながら、たまに雨で延期があったり、その分がダブルヘッダーとなって7イニングのゲームを1日2試合消化するといったことがあったりしながらシーズンが進行しました。
ヨーロッパなどでプレーしていると土日のどちらかに9イニングの試合のダブルヘッダーを行うのが普通ですから、マイナー以下のゲームではダブルヘッダーは7イニング制になるということもはじめて知りました。
第1週
トライアウトキャンプが終わった直後の開幕第1週は、ロングアイランドから4チームがすぐに国内線の飛行機に飛び乗り、中南米はプエルト・リコへ。アグアダ及びリンコンという都市で、我々ニューヨーク・バックスはプエルトリコ・アイランダース Puerto Rico Islandersと戦いました。
ぼくはキャッチャーとして2試合に先発しましたが、いずれも途中交代。思ったように出場機会が得られない週でした。初ヒットも記録できず、チームも2勝3敗で負け越しスタートとなりました。
第2週
シーズン第2週は、開幕週に5連敗を記録して最下位のアグアダ・エクスプローラーズ Aguada Explorers戦。
ぼくは井神力投手とバッテリーを組んで先発した第2戦で2安打と打点を記録。あわやホームランかというフェンス直撃のファールも打つなどバッティングが好調でした。
更に第4戦には点差のついた8,9回にまさかのリリーフ登板。ロースター入り直後から監督にもし必要になったら登板できるか?と聞かれていましたが、こんなに早くチャンスが来るとは思っていませんでした。
結果は被安打1与四球1奪三振1で無失点。アメリカプロキャリアでの初登板を飾ることができました。チームも4勝1敗と勝ち越し、優勝戦線に浮上することができた良い週となりました。
第3週
第3週は、プエルト・リコからアメリカ本土のメイン州オールド・オーチャード・ビーチに移動してのオーチャード・オーチャード・ビーチ・サージ Old Orchard Beach Surge戦でした。
この週は投手としての登板はありませんでしたが、サードの選手の守備が不安定だったこともありサードとして2試合に出場、安打と打点を記録することができました。
週ごとに目まぐるしく変わる起用法に、チャンスがあればどんどん起用するアメリカの野球の日本との差を感じました。後に、3ポジションで一定試合数以上出場したのはリーグで唯一ぼくだけだったと知ることになるのですが。
第4,5週
第4,5週は、メイン州から更に6時間のドライブを経てニューハンプシャー州に移動。ぼくの所属するニューヨーク・バックス、プエルトリコ・アイランダースと三つ巴で優勝争いを展開するニューハンプシャー・ワイルド New Hampshire Wildとホームアンドアウェイを入れ替えての、鬼の10連戦となりました。
実はこの週、なかなか支払われない給料に車移動での交通費が嵩んで、経済的な理由からこれ以上チームとしてプレーを続けるのは難しいのではないかという議論が起こりました。チームミーティングで決議を取る騒動にまでなりましたが、リーグから今後の移動を最小限に留めて経済問題をクリアするという回答をもらい、チーム解体を回避しました。チームが解体となればその場でぼくのシーズンも終了でしたから、すんでのところで首の皮一枚繋がった形でした。
このシリーズで、ぼくは主にサードとして出場し打撃爆発。複数安打を何試合も記録し、打率を一時リーグトップ10に迫るところまで上昇させました。
キャッチャーとしても完璧なリードでローテーション谷間のピッチャーに完封勝利をもたらすことに成功し、ニューハンプシャーの監督であるスコットからも賞賛のコメントをもらいました。
チームはニューハンプシャー・ワイルド相手に2週間でわずか1敗。リーグ連勝記録を更新し、この時点でシーズン優勝はニューヨーク・バックスかプエルトリコ・アイランダースかという状況に持ち込みました。
第6週
第6週からはニューヨーク州のほぼ北端、プラッツバーグに移動して、プラッツバーグ・レッドバーズ Plattsburgh Redbirdsとの対戦となりました。トライアウトキャンプで同室だったオースティンとロビーと再会し、シーズン後半までロースターに残っていることを喜び合いました。
主にピッチャー、キャッチャーとして出場し、リリーフとしての連続無失点試合を6に伸ばすなど好調を維持していると、コールアップでアトランティックリーグに行ったエース、野球をやめて就職することにしたセットアッパーの代わりに、今後ピッチャーとしての起用を増やす方針だと監督から伝えられました。
第7週
第7週は経済問題に対する解決案として、ここプラッツバーグに滞在しながらの、ニューヨーク・バックスをホームとするオールド・オーチャード・ビーチ・サージとの再戦でした。
このシリーズで、ピッチャーとしてはじめて失点。次の登板でも失点して1回保たず降板するなど、苦いシリーズとなりました。
さらに週の後半にはトレードも経験。
【米独立エンパイアリーグ挑戦記外伝】野球人生初めてトレードされた話、バイエズにあって川崎宗則にないもの/ TRADE ALERT
新しいチームで新たな挑戦をすることを誓って、バックスの寮の部屋を後にしました。
最終週
アグアダ・エクスプローラーズに移籍しての最終週は、オールド・オーチャード・ビーチに移籍してのサージ戦。日本でぼくらをトライアウトしてこの地に来るきっかけをくれたケンが監督を務めるチームでした。
ここエクスプローラーズでの新しい挑戦は、ピッチャー専任でプレーすること。野手兼任で投げるのとは、心構えの上で大きな違いがありました。
2戦目の先発を任されたぼくは初回をテンポよく抑えますが、2回、4回と失点。人生初の先発試合で5回を投げ切ることができたものの7失点。収穫と反省の大きな1試合となりました。
このままでは終われないと志願して連投登板した、シーズン最終戦。前日までの変化球主体の投球とはガラリと変えて、フォークを2球混ぜてボールとなった他は全球ストレートで勝負しました。結果は1回を被安打1、奪三振1の無失点。自分の1番いいボールであるスピンの効いたストレートが、アメリカでもきちんと通用するんだということを実感することができました。
ポストシーズン
最下位のエクスプローラーズは、ポストシーズンをプレーすることなくシーズン終了しました。しかし帰りの飛行機はポストシーズン後の日程で取っていたため、再びプラッツバーグに戻ってポストシーズンを観戦することにしました。
決勝ではレギュラーシーズン優勝の古巣ニューヨーク・バックスを、佐野川リョウ、菅原祥太両日本人選手が所属するプエルトリコ・アイランダースが破って優勝。優勝カップを手にしました。ニューヨーク・バックスはシーズンで猛威を振るった打線が短期決戦で完全に沈黙し、ちょうど2018年ポストシーズンでの西武ライオンズの様でした。
まとめ
2018年の夏、ぼくがプレーしたエンパイアリーグでのシーズンの様子をまとめました。
アメリカに来る前、2ヶ月半のシーズンはとても短いものだと思っていました。しかしここまで書いてきたように、はじめての毎日試合のあるシーズンは、毎週めまぐるしく状況が変化するとても忙しく充実したもの。振り落とされないようにしがみつくのに必死でした。
次回のブログでは、そのシーズンの中で周囲からどういった評価されたのか?その評価を受けて、来シーズン以降についてどう考えているのか?ということを書いていきたいと思います。
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