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【アメリカ独立リーグ挑戦記外伝】エンパイアリーグで見たアメリカのポジション争いに対する考え方と、人を呪わば穴二つ

「人を呪わば穴二つ」ということわざをご存知でしょうか?アメリカ独立リーグのエンパイアリーグでプレーした今年、このことわざの意味がとても腑に落ちた出来事がありました。

 

その出来事は、ひととして、野球選手として大きく成長できた出来事でもあったので、ここに紹介したいと思います。

 

 

 

2018年夏のエンパイアリーグで、ぼくはレギュラーシーズン優勝を果たしたニューヨーク・バックス New York Bucksというチームでプレーしていました。

 

優勝するようなチームですから上手な選手は多く、他の選手との兼ね合いでキャッチャー、サード、リリーフピッチャーなど多くのポジションをプレーしました。それでもしぶとく試合に出るぼくのことをチームメイトのリッキー(井神力)投手は、よくゴキブリ並みだと表現していました。

 

その中でぼくの出場に特に影響があったのはケニーという選手でした。ケニーはアメリカ合衆国コネチカット州出身のアメリカ人で、9番センターで出場する俊足巧打、左打ちの外野手でした。なぜ外野手の彼との争いになるかと言うと、ケニーが出ない場合はサードの選手がファーストに、ファーストの選手が外野に行って、ぼくがサードを守るからです。

 

 

日本ではチーム内でのポジション争いは蹴落とし合いだと言われますから、よほど元々仲の良い選手でもない限りその選手との関係はギスギスします。みんな自分が試合に出て活躍したいからです。ぼくもかつてはどうしても、ポジションの競合する選手に対して「打つな」「活躍するな」と思ってしまうことがありました。

 

しかし、それはもうやめにしました。どうしてもそう思ってしまうときがあれば、ケニーに積極的にポジティブな声を掛けることにしました。

 

「グッドプレー」

「グッドトライ」

「グッジョブ」

 

と、小さなことにでもたくさん声を掛けていると、本当に自分もそう言う気持ちになれてきます。さらに、おそらく向こうとしても競争相手だと感じていただろうケニーのぼくに向ける表情もずっとリラックスしたものになりました。

 

 

 

逆説的ですが、それはケニーのためにやったことだとか、優しさだとか、優れた人間であるためにやったことでさえありませんでした。自分自身がただ、マイナスの感情に支配されたくなかっただけです。

 

ですが、その効果はそれだけに止まりませんでした。以前、競争相手に対して「打つな」「活躍するな」と思っていたときは、今度は自分が出場しているときにも相手がそう思っているのではないかと感じてしまっていました。凡退すれば、相手は「よかった」と思っているのではないかと想像するのを止めるのは難しかったのです。

 

 

 

しかし、それもなくなりました。ケニーもいい奴でしたからぼくが出場している試合で声を掛けてくれるようになりましたし、もしそうでなかったとしてももう以前のように考えることはなかっただろうと言えます。自分がひとに対してそういう風には考えていないからです。

 

これこそが、「人を呪わば穴二つ」ということわざの意味なのだとわかりました。誰かに対して強いマイナスの感情を持ってしまうと、自分もその感情に支配されて悪い影響を受けてしまうのです。そしてそれは、その感情を持たないようにすることで簡単に回避できるのです。

 

 

 

シーズンの初めにアメリカ人選手たちと、日本人コーチのケンも交えてチーム内でのポジション争いについて話したことがありました。ヨーロッパでプレーしていたときにも同様に思いましたが、彼らはポジションの被る選手にまったくギスギスするような感情を抱いていません。

 

日本のそうした考え方に反感を持ちながらも、長年そうした場でプレーしてきたぼくはどうしてもそういった感情を持ってしまうことがあり、彼らになぜポジションが被る選手に対して何も思わないのか聞いてみました。

 

彼らの答えはシンプル。

 

「楽しくないから」

 

 

 

馴れ合いだとか、仲良しクラブじゃないだとか、日本ではとかく否定的な言い方をされますが、アメリカや多くのアジア圏外ではチームメイトのことをBrotherと呼び合い、グランドを一歩出ればどころか、グランド内でもうみんな一番の親友です。

 

もちろん合う合わないはありますから全員が全員の親友だとは言いません。しかし、和気藹々とした雰囲気の中でお互いに助け合い、信頼しあってプレーすることが、それぞれの持っている力を120%発揮する一番の近道なんだと感じさせられたシーズンでした。

 

 

 

 

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